顔料粉体の加工について
顔料粉体加工は、環境負荷が低い無溶剤技術であり、VOC排出がほぼゼロです。厚膜で高耐久・耐候性の塗膜が得られ、省資源・高効率な大量生産にも適しています。一方で、顔料の分散や色合わせ、粒度管理に高度な技術が求められ、専用設備や素材選定にも注意が必要です。この記事では、顔料粉体加工の特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
顔料粉体の加工の特徴は?
顔料粉体の加工は、溶剤を使わず粉体のまま使用します。粉体塗装では顔料や樹脂、添加剤などを細かく粉砕した粉末を直接被塗物に付着させ、焼き付けることで塗膜を形成します。この方法はVOC(揮発性有機化合物)を排出しないので、環境負荷や健康リスクを低減できます。加工には静電気を利用した静電粉体塗装法や、粉体を流動させて対象物を浸漬する流動浸漬塗装法があり、いずれも効率的で自動化に適しています。粉体塗装は厚膜形成が可能で、耐久性、防錆性、耐候性に優れ、粉体の粒径や分布、流動性を厳密に制御することで、高品質な仕上がりの塗装膜を得ることができますまた、粉体の回収・再利用も可能で、省資源・高効率な加工が行えます。
プロセスは?
- 計量・混合:樹脂、体質顔料、着色顔料、添加剤を所定の比率で正確に計量し、高速回転混合機などを用いて予備的に混合します。ここで原料を均一に混ぜることが後の品質に大きく影響します。
- 溶融混練:混合した原料を押出機(エクストルーダー)や混練機で加熱して溶融しながら均一に分散させます。顔料の分散具合は塗膜の色や外観の均一性に直結します。通常100~120℃くらいに加熱され、溶融状態で混練されます。
- 冷却・固化:溶融混練後の物質を冷却コンベアやロールに乗せてシート状やペレット状に冷却し固化させます。
- 粗粉砕・微粉砕:固化シートやペレットをハンマーミルなどの粗粉砕機でペレット状(5~10mm)にし、その後ピンミルやハンマーミルといった微粉砕機で目的の細かさに粉砕します。
- 分級・ふるい分け:サイクロンや分級機、振動ふるい等を用いて粒度分布を調整し、大きな粒子を除去し均一な粒径を維持します。
- 充填・包装:最終製品として容器に充填し、出荷のために包装します。
顔料粉体の加工のメリット・デメリット
顔料粉体加工の概要を説明してきました。さまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。デメリットを理解することで適した素材・用途の判断ができます。顔料粉体の加工のメリットとデメリットを解説します。
メリット
顔料粉体の加工は溶剤を使用しないので、VOC(揮発性有機化合物)の排出がほぼゼロで環境負荷が非常に低く、健康リスクの低減にも貢献します。これは粉体塗装が有害な有機溶剤を含まないためで、光化学スモッグなどの大気汚染防止に有効です。
また、粉体塗装で形成される塗膜は厚く、高い耐久性・耐候性を持ち、防錆性にも優れています。使用される粉体は回収・再利用できます。材料ロスが少なく省資源にも寄与します。
加工プロセスは静電気や流動層を利用するため厚膜塗装や均一な仕上がりという特長があり、機械化や自動化が容易なため大量生産にも適しています。
デメリット
溶剤を使わないため顔料の分散が難しく、粉体中の顔料粒子が凝集しやすく分散不良を起こすことが多いです。このため均一な色調や外観を得るためには分散技術や分散剤の選定が非常に重要です。また、粉体塗料では塗装後の色調調整ができないので、事前の調色の精度が求められ、正確な色合わせは難易度が高いです。
粒度管理も重要です。粒度が大きすぎると外観の粗さやムラが生じ、一方で粒度が細かすぎると粉体の流動性や帯電性が低下し加工や付着に悪影響を及ぼします。溶融混練や粉砕、分級などの専用設備のための設備投資が必要です。加えて、熱に弱い素材や非常に精密な色再現を要求する用途には粉体塗料が向かない場合もあります。
まとめ
顔料粉体加工は溶剤を使わないためVOC排出がほぼゼロで環境に優しく、厚膜で耐久性や耐候性に優れた塗膜が得られます。粉体は回収・再利用可能で材料ロスが少ないです。自動化・大量生産に適している一方、顔料の分散が難しく色合わせや粒度管理に高い精度が求められます。専用設備の導入が必要で、熱に弱い素材や精密な色再現用途には不向きな場合もあることに注意が必要です。粉体塗料は、樹脂・顔料・添加剤を計量・混合し、溶融混練、冷却固化、粉砕、分級の工程を経て製造されます。顔料分散の良否や粒度管理が品質に大きく影響することに注意しましょう。
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