磁性粉末の加工について
磁性粉末は加工することで、高い磁気特性を求める材料や製品として使用することができます。この記事では、磁性粉末の加工について特徴やメリット、デメリットをまとめています。
磁性粉末の加工の特徴は?
磁性粉末の加工は、主に2つの方法を使い分けて行われています。
- 結合粉末:磁性粉末と樹脂などを混ぜ、プレスして成型する
複雑な形でも比較的低コストで成型できる
センサーやOA機器などに用いられている - 焼結粉末:磁性粉末を高温で加熱、圧縮して焼結する
MRIや発電機などに用いられている
また、磁性粉末は軟磁性粉末と硬磁性粉末に分かれています。
- 軟磁性粉末:透磁率が高く磁化・消磁しやすく高周波電磁部品のモーターや磁性コアに適している
- 硬磁性粉末:残留磁気が大きく永久磁石などに適している
プロセスは?
- 粉末製造
アトマイズ法で溶かした金属にガスを吹き付けて急冷したり、鉄粉や合金粉末を粉砕したりして微細な粉末を製造、粒度や球形化により充填性や磁気性能を調整する - 粉末改質・表面処理
磁性粉末に更に別の微粒子を付着させたり異なる物質をコーティングさせたりすることで磁気特性や表面特性を向上させる - 成型加工
プラスチック樹脂と混ぜ合わせて射出成形する、粉末をロールで圧縮して成型して焼結する
金型で固めて高温で焼結する、3Dプリントで積層造形するなどの方法がある - 熱処理・焼結
磁気特性を向上させたり内部応力を除去して強度や耐摩耗性を高めたりする目的で行う - 後加工
耐食性や電気特性を向上させるための表面加工や寸法精度の調整や表面を滑らかにするための研削・研磨を行う
磁気特性評価を行い、後加工が磁気特性に与えた影響について測定、評価する
磁性粉末の加工のメリット・デメリット
磁性粉末加工について、メリットだけでなくデメリットも正しく把握しておくことが大切です。ここでは、メリット・デメリットについて紹介します。
メリット
磁性粉末加工は粒子サイズ調整と表面処理を行うことで、用途や目的に合わせた粉末を製造可能です。用途別に材料組成や粒度を調整できますし、それによって高性能な磁気特性が実現できるため、電子部品の小型化、薄シート化などが実現できます。
磁性粉末加工は様々な方法で成型が可能です。3Dプリンターや金型での成型により複雑で繊細な形状の加工も高い精度で行うことができます。材料のロスが少なく環境負荷軽減にもつながるでしょう。
デメリット
磁性粉末を加工する際、粉末が空気中に飛散して一定の濃度に達すると粉塵爆発を起こすリスクがあります。また、作業中に吸い込んでしまうと塵肺やアレルギーなどの健康被害が起こる可能性もあり安全性の管理が欠かせません。
希少な材料を使ったり表面処理が必要になったりする場合は少量生産だとコストが高くなってしまう恐れがあります。
また、磁性粉末の粒度や形状が最終製品の品質に影響するため、均一な粒度、特性の維持が難しく安定した品質を確保するための技術が求められます。
まとめ
磁性粉末の加工は加工しやすく様々な用途に使えるメリットがあり、通信・電子科学や自動車産業、医療など様々な分野で活用されており、目的に応じた磁性粉末を採用することで製品性能や効率がアップする可能性があります。しかし、その一方でコストや安全管理面のリスク・デメリットもがあることも押さえておかなければいけません。
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