化粧品粉体の加工について
化粧品粉体の加工は、肌への密着性や使用感、機能性を決定づける重要な技術です。微細な粉末の粒子径や形状、表面性質を緻密にコントロールすることで、紫外線カットや美白、毛穴補正、ツヤ演出などのさまざまな効果を得ることができます。ここでは、その特徴から製造プロセス、品質評価手法、メリット・デメリットまでを詳しくご紹介します。
化粧品粉体の加工の特徴は?
化粧品に用いられる粉体は、粒子径が約10ミクロンと非常に微細です。人間の髪の毛の太さが約70ミクロンなので、それよりずっと細かいことがわかります。
粒子径や分布、形状、比表面積、密度などの一次物性はもちろん、凝集力などの二次物性や流動性・安息角などの三次物性まで厳密に制御することで、紫外線カットや美白、シミ防止、ツヤや透明感の演出などのさまざまな効果を生み出します。
代表的な原料としては、酸化チタン(紫外線カット)、マイカ(パール感付与)、ナイロン粒子(毛穴補正・なめらかさ)などがあり、それぞれの性能や表面処理方法に応じて適したものが選ばれます。
化粧品粉体の加工プロセスは?
化粧品粉体加工は、原料粉体の混合から分散、成形、表面処理、品質検査まで複数の工程を経て行われます。
- 原料準備・混合:複数の粉体原料をバッチミキサーで均一に混合し、湿式または乾式で分散。
- 粒度調整・分級:レーザー回折式測定装置で粒度分布を評価し、ミルやエアジェット分級機で微粒子を精選。
- 成形(プレス):金型内で圧縮荷重、速度、時間を最適に管理し、プレストークを形成。ひび割れ防止のために加圧条件を厳密に制御します。
- 表面改質:シリル化剤や高分子コーティングで表面を覆い、流動性や肌触感、製品安定性を向上。
- 乾燥・硬化:温度・湿度制御された室内で乾燥し、形状と強度を確立。
- 品質検査:粒子径、分布、安息角、流動性、色調、カバー力などを評価し、合格品だけを出荷。
化粧品粉体の加工のメリット・デメリット
化粧品粉体の加工には、肌の仕上がりや機能性を向上させる大きなメリットがある一方で、均一性や扱い方に関する課題もあります。それぞれのポイントを解説します。
メリット
微細な粒子制御により肌への密着性が高まり、ツヤや透明感、カバー力など仕上がりを美しく演出できます。酸化チタンやマイカを配合すれば、紫外線カットやパール感付与などの機能性を自在に付与できます。
さらに、シリル化やポリマーコーティングによって肌への刺激を抑えつつ、パウダーの付着性や伸び感を調整でき、しっとり感からサラサラ感まで幅広いテクスチャーを実現します。
また、精密なプロセス管理により生産ロット間のバラツキを抑え、製品品質を安定化できることも大きな利点です。
デメリット
粉体の流動性や凝集性が悪いと、製造時にだまやムラが発生しやすく、最終製品の仕上がりムラにつながる恐れがあります。また、粒子径や分布が不均一な場合、品質や機能性にバラつきが出やすくなります。
さらに、酸化チタンなどの無機粉体はそのままでは肌になじみにくく、肌荒れや刺激を引き起こす可能性もあるので、表面処理や皮膚適合性試験が必須です。
加えて、湿度や温度など周囲環境により粉体特性が変化しやすく、保管・取り扱いにも厳重な管理が求められる点が課題となります。
まとめ
化粧品粉体の加工は、粒子径や表面性質を緻密に制御することで、肌に美しく機能的な製品を提供できる技術です。微細粉体の均一性維持、最適な表面改質、精密な成形条件管理、徹底した品質検査を組み合わせることで、高品質な製品をつくることができます。
一方で均一性の確保や環境影響、肌適合性といった課題への対応も欠かせません。各プロセスを最適化し、研究開発と品質管理を強化することで、安全かつ美しい化粧品粉体製品の安定供給ができるようになります。
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